記事原稿外注費の源泉徴収と消費税の計算方法

①相手に手取りで10,000円ぴったり払いたい場合
②原稿料の本体価格が10,000円の場合

の2パターンについて説明しています。

相手に10,000円ぴったり支払いたい場合

あまり慣れていない人が外注ライターさんと契約する時に、たまにある話。

個人で活動されてるライターさんに「原稿料として10,000円払います」という依頼をした場合、書類上は消費税と源泉所得税の計算が必要になります。

ところがこの辺の話をうっかり飛ばして口約束でお願いしてしまい、消費税は内税、源泉所得税は依頼主で負担することになってしまった。

そこで「約束通り相手に10,000円ぴったり渡るようにしたい」時の請求書の内訳をどう書いてもらったらいいか? ってことです。

税理士さんに教わったのでメモしておきます。

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とにかく、支払明細の合計金額が10,000円ぴったりになるようにしたい。

①原稿料 (A)
②源泉所得税(10.21%) (B)▲
③消費税(8%) (C)
④合計(A+B+C) 10,000円

この表を埋めていきます。

計算順序

【前提】消費税は8%、源泉所得税は10.21%として計算します。

報酬+消費税-源泉徴収=10,000

(報酬額をXとして)
X+0.08X-0.1021X=10,000

0.9779X=10,000

X=10225.99447…≒10,225(端数切り捨て)

これで元々の報酬金額は10,225円とわかりました。

消費税=10,225×8%=818

源泉徴収額=10,225×10.21%=1,043

10,225+818-1,043=10,000

なので、表に当てはめると

請求書の内訳
①原稿料(A) 10,225
②消費税(A×8%) 818
③源泉所得税(A×10.21%) ▲1,043
差引支払額(①+②+③) 10,000

これでOK。

そもそも源泉徴収って? 

今回の例では「発注側が法人で外注さんが個人」のケースを想定しています。

外注先が法人の場合は源泉徴収はしません。また自分1人でやっている個人事業主の場合も源泉徴収はしないはずですが、これは所轄の税務署で確認してくださいね。(個人でも従業員を雇っている場合は源泉徴収する)

源泉徴収を行うと、外注ライターさんが国庫に納めるべき所得税(1,043円)を発注側で天引きすることになりますので、報酬支払いの翌月にはライターさんに代わって金融機関などで納税する義務が生じます。(源泉引いたのに会社が税務署に納めていなくて、ライター本人が脱税状態になっている事例が結構あるらしい…)

上記の原稿料の場合、こんな感じで納付書を記入して翌月にお近くの銀行窓口へ行き、1,043円払って控えをもらえばちゃんと納税したことになります。

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あなたが法人口座を開設している銀行ならもちろん引き落としで大丈夫ですから、払戻請求書を一緒に提出しましょう。

この納付書は税務署で配布している他、税務署に電話すると郵送してもらえます。法人名や番号も印字してもらえるので便利です。

書類の名称は「報酬・料金等の所得税徴収高計算書」です。よく似た書類で「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」というものがありますので、入手する時に注意してください。外注さんに支払うお金は給与ではありませんからね。

税務署で納付書をもらう他には、e-taxで電子申請して口振やPay-easyで納付する方法もあります。登録口座からの引き落としやクレカ払いもできるため僕はそちらを使っていますが、e-taxは初期設定とか結構面倒でとっつきにくいので、毎月恒常的に使うわけでなければ銀行窓口の方がむしろ早いかも。せっかくのIT技術なんだから、マイナンバーとかを使ってもうちょっと簡素化して欲しいものです…。

原稿料本体が10,000円の時は?

ついでに、まっとうな契約で「原稿料+外税-源泉徴収」をあらかじめ通知していた時の計算。

10,000×8%=800(消費税額)

10,000×10.21%=▲1,021(源泉徴収額)

10,000+800-1,021=9,979(差し引き支払額)

①原稿料(A) 10,000
②消費税(A×8%) 800
③源泉所得税(A×10.21%) ▲1,021
差引支払額(①+②+③) 9,979

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明らかにこちらのほうがわかりやすいですし、一目見ただけで意味が通じます。契約時にはちゃんと源泉徴収の件を伝えておきましょう。

ランサーズやクラウドワークスを通す時にも明記しておかないと、源泉徴収したら相手の手取りが思った以上に少なくなるのでトラブルになりかねません。

そんなの契約の上では常識なんでしょうけど、廉価かつ単発の仕事でいちいち契約書なんか交わさないよという人も多いはず。

口約束で「じゃあ1万円でお願いします!」って言ったあと、あれ、消費税は? 源泉徴収は? そういやちゃんと決めてなかったな~というケースのご参考になれば幸いです。

ライターさんの他に、取材協力の謝礼金などにも応用できますよ。