齊藤ミナヨシです。ちょくちょく読者の方からご質問のメールを頂いていますので、それに対する回答なんかを載せていこうと思います。
ネタを探す必要のない楽々ブログ運営術! どうだ見たか! ワハハ!
なので私にメールされる際、もし転載を希望されない場合はその旨を一言添えていただけると助かります。
(もちろん個人を特定できるような情報は載せません)
よろしくお願いいたします!
独立開業したい税理士。ブログで副収入を得たいが・・・
今日は税理士のHさんからのメールです。
「中堅の税理士法人で働いていて独立を考えているが、独立直後の収入が心もとないのでブログで収入を得られないか?」という趣旨のご質問でした。
以下、私の回答を載せておきます。(ご本人様へはメールで回答済みで転載の許可をいただいています)
①サイトは比較優位を活かした内容で作るのが鉄則
~専門知識を活かしたブランディングサイトを作るか、アフィリエイトサイトを作るか~
「サイトから収益を得たい」と考えた場合、大きく2つの方向性があります。
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基本的にはご自身がやりたい方でいいのですが、士業の方なら(1)がおすすめです。
実務でインプットした情報を副産物としてブログへアウトプットできますので手間が少なく、最前線のホットな情報を逐次掲載することで利便性と価値のあるサイトになります。
お勤めのうちは本名を公開することが難しいかもしれませんのでハンドルネームにしておき、将来独立されたら本名に入れ替えるのがよいと思います。
ただし(1)ですとサイトで直接モノを販売するのが難しいため、広告収入はそれほど上がりません。
あまり広告をベタベタ貼ると信用が下がりますし、書籍の紹介やディスプレイ広告(アドセンス)程度になると思います。
月の収入期待値としては1~2万円といったところでしょうか。(もちろん個性を発揮して大人気ブログになれば上限はありませんが・・・)
なのでこのパターンのサイト運営は長期的な展望をふまえて「自分のファン作り」を優先することに主眼があると言えるでしょう。
一方、(2)は商品を売る(EC)・紹介する(アフィリエイト)ことに特化したサイトを作るため、個人のブランド育成には寄与しません。
比較サイトやレビューサイトを作ってユーザーさんに買ってもらうイメージです。
こちらの方がお金にはなりやすいですが、それなりにテクニックが必要となりますし一般的にはサイトの寿命が短く、競争もはげしい傾向にあります。
まとまった収益を出し続けるのは副業ではなかなか難しいのが現実です。
このあたりは目先の副収入の方が欲しいか、将来を考えてご自身のファンを作ることを優先するかの違いとなってきますね。繰り返しますが士業の方には(1)をおすすめします。ブログ資産は一朝一夕では作れませんので、早く始めるほうが有利です。
②ブログに書くのは日記ではなく読者が知りたいこと
~初心者向けにテーマを決めて、書籍を一冊書くつもりで目次を作る~
ブログというと多くの方が誤解されるのですが、個人の日記を書く必要はありません・・・というか書いてはいけません。
書くのはただ一点、「読者さんの役に立つ内容」です。
読者さんが検索エンジンに向かって何かを入力する時、彼らは必ず何かの課題を抱えています。
「東京駅 ランチ」と検索する人の課題は何でしょう?
お腹が空いていて東京駅の近くでお昼を食べたい。でも適当なファストフードではなく、どうせならちょっと美味しい物が食べたい。どこかオススメのお店はないかな・・・?
こういったユーザーさんの課題を解決できる情報を提示してあげるのが、役に立つサイトです。
この場合は食べログやレッティ、ぐるなびといったサイトになるでしょうか。
飲食店情報のように単なるデータベースがあればいい(課題が浅い)サイトは大手にかないませんので、
個人で作る場合はもっと「深い課題」を丁寧に解決してあげる必要があります。
具体的には「27年 税制改正 ポイント」「ふるさと納税 確定申告」「社会保険 法人成り 加入義務」…
これらのワードで検索している人の課題とは、つまりHさんが普段クライアント企業から質問されるような内容ですよね。だからネタとして書きやすい。
今日クライアントから質問されて調べたことをまとめて、そのまま分かりやすく書くだけでいいんです。(もちろん守秘義務に触れないよう一般化する必要はありますが)
ただし、漫然とした「税理士さんの雑記帳」ではあまりよくありません。
「一人会社の節税方法」「長く介護が続いた後の相続トラブル」など、具体的なテーマを絞ったブログにする方がベターです。
それはなぜでしょうか?
例えば私が本屋で税務関係の棚を見ているとします。
この時、次の2冊が並んでいたら私はどちらに興味を持つと思いますか?
・ 企業税務Q&A
・ 法人成りして1年目!小さな会社の社長が決算前に使える節税テクニック20
私の場合、もちろん後者ですよ。
なぜなら、まさに今困っていることを解決してくれそうだからです。
課題というのは人それぞれですが、基本的には今困っていることをすぐ解決してくれる専門的なガイドを必要としています。
初めてディズニーランドに行く人はディズニーのるるぶを買いますよね。関東るるぶより先に。
「あ、これ今の自分にピッタリの本だ!」と直感的に伝わるサイトでなければクリックされないか、もしくはブラウザバックされて終わりです。
Hさんが実務で最も得意としている、愛着がある、今後知識をつけていきたいといった分野について「初心者向けのガイドブック」を一冊書くつもりで目次を作り、その目次にそって記事を入れていくのがブログを使ったブランディングの第一歩です。
例えばですけど「法人成りから1期目の決算まで 一人社長の疑問にすべてお答えします」といったタイトルのブログを作り、私のような法人成りしたい/した人を相手に日本一詳しい入門書を書きます。(この時「日本一」というのがとても重要です)
- そもそも法人成りしたほうがよいのか?判断はどこでする?
- 法人成りの手続きをできるだけ簡単にするには?
- 法人成りの実際の費用は?
- 法人成りして後悔している人はいないのか?
・・・まあ、その手の書籍を買えば書いてあるような項目ですよね。
項目は似たり寄ったりになったとしても、その本より詳しく・分かりやすく・最新の情報にして記事を書けばいいんです。
そうすることで、このサイトにはファンがつきます。
どういう層がファンになるでしょうか?
もちろん、法人成りしたい/した人ですよね。
ではそういう人たちに売れるものはなんでしょう?
- 印鑑セット?
- 税務のおすすめ書籍?
- ドキュメントスキャナ?
- 会計ソフト?
- 気の利いた名刺を作ってくれる業者?
法人設立時は色々と物入りですし忙しくて自分であれこれ考えたくありませんから、「これがあれば絶対にはずさない」 というグッズを強く勧めてもらえればきっと買う社長さんがたくさんいます。
こういった商品のアフィリエイトは可能でしょう。
ただし、広告を貼るにはそのブログ著者に信用があることが前提です。
「この人の言うことなら間違いないだろう」という信用を得るために、専門家としての知識・職業観・倫理観をブログでアウトプットしていくわけです。
ビジネス本の著者も、別に本で儲けようと思ってるわけではなく、自分の名刺やポートフォリオの代わりに出版しているケースが多いですよね。
「本を出している」という事実が信用になり、書いてあることが自己紹介の代わりになり、そしてそれを読んであなたの考えを理解している人が、最初からある程度のロイヤルティを持った顧客として訪ねてくるわけです。ありがたいことですよね。
ブログはその書籍の代わりになる営業ツールです。
お金が欲しいからといって、どこの誰かもわからない人が前置きなしでいきなり「おすすめ印鑑セットランキング!」なんて広告を貼りたくったところで残念ながら誰も相手にしませんし、信用を損なうだけです。
営業はモノを売るのではなく人を売るのです。
よく聞くフレーズですよね。ブログでも同じです。
文章を読めばその人が信用できるかどうか、真剣に実務に取り組んでいるかどうかすぐ分かります。
Hさんは私のブログを読んで、どうしてメールしたいと思ってくださったんですか?
そこに読者さんから信頼されるためのヒントがあります。
③テクニックよりマインドが先
ブログで収益を得るためのテクニックは色々ありますが、それはステージに応じて都度最新のものを調べればよいでしょう。
それよりも先に、なぜブログを書くのか? どうしてサイトからの収入が欲しいのか?といったマインドセットを確立する必要があります。
会社の業務と違い、ブログは孤独な自分との戦いです。
成果がなかなか上がらないのに何ヶ月も熱心に取り組むのは難しく、モチベーションが下がって早々に放置するケースがほとんど。
スキル不要・目先のお小遣い稼ぎとしか認識していない人はここで脱落します。
今回ここでご紹介する書籍は、いずれも稼ぐためのテクニックよりはブログ運営を続けるための精神的な柱を育てるための本、もしくは先生業として独立を考える際に読んでいただきたい本です。
まずはこういったものを手にとっていただき、自分にもできそうだと思えるか? 自分が経営者としてブログを活用している姿を想像しワクワクできるか?
そういったことから考えてみてください。
PCに向かって文章書くのが好きでなければ長続きしませんので、自分には無理そうだと思ったら普通に対面でのドブ板営業に専念したほうが早道です。
そうして収益が上がって事業が回転しだしたら、専任のブログ担当者なりSEOコンサルなりを使って営業ツールの一つとして使ってみる。
その程度でいいと思います。
・もう年金に頼らない
http://www.amazon.co.jp/dp/4877316477
零細の靴メーカーの社長が会社を潰し、60歳を超えてからネットを使って情報商材を売った話。
「情報商材」という売り方は今ではもう通用しませんが、自分が持つ比較優位性を洗い出してネットで収益に転化する方法が高齢者向けにとても分かりやすく説明されています。読むと「自分にもできるかも」と勇気が出る本。
・ブログ飯
http://www.amazon.co.jp/dp/4844334166
脱サラした特に取り柄のない著者が、ブログを収入のひとつの選択肢として考える話。
著者と何度かお会いしたことがありますが、この本に感銘を受けてぜひ会いたいですとメールしたのがきっかけです。
ブログから収益を得るということについて、(初心者当時の)私の考え方とかなり近いことが書かれています。
・たった90日であなたの先生ビジネスは絶対儲かる
http://www.amazon.co.jp/dp/4798039969
著者は見るからにギラギラしてて胡散臭いのですが書いてあることは意外と論理がまともでした。
サイト運営だけでなく、先生業で食っていくための全体的なワークフローについて書かれています。
「アメブロを使え」のような具体的な部分は参考にしないほうがいいですが、一読すると独立する際にこういうことも考えた方がいいのだなと筋道が見えてきます。
・コンサルタントのためのキラーコンテンツで稼ぐ法
http://www.amazon.co.jp/dp/449552321X
これもサイト運営の本ではありません。
社長相手にコンサルをしていくための考え方の指針がとてもロジカル&合理的に、かつ耳が痛く手厳しい内容になっていて、内容の薄いビジネス本に比してかなり優れていると感じました。
これも独立後を見据えて読んでおきたい本です。
繰り返しますが、これらはアフィリエイトで儲けるためのテクニックを紹介する本ではありません。
・ 先生業で食っていくためには?
・ ブログをツールとして所有することの意義は?
といった、全体的なお話です。
ですからその辺を理解せずに買った人からは「ノウハウを出し惜しみしている」など散々なレビューがついていますが、そういったトンチンカンな批評は気にしなくて結構です。
まずこれらの本を1冊でも手にとってみて「自分でも独立後の本業の傍らでブログ運営やれそうだな」「ぜひ挑戦してみたい」と思えたらまたご相談ください。